• テキストサイズ

〜Cafe myosotis〜

第10章 -雨のおくりもの-(黒尾/赤司)


「彼とは元々友だちとしては
とてもいい関係でした。
わたしは彼と少しでも
一緒にいられるならって…
そう思ったら、
彼にはその気はなくてもいい…
そう思ってました…」


「で?そんな関係に納得していたはずなのに、
段々気持ちが抑えられなくなってきた…
ってところ…かな?」


「…っ⁈」


核心をつく赤司のことばに、
すみれは目を潤ませて頷いた。


「わたしから”会いたい”って言えば、
会うのは簡単です。
わたしから望んでいるのだから、
彼も罪悪感が少ない。
でも…わたしは彼から”会いたい”と
言われたかった。
それで今日の会う約束を
わたしがごねたんです。」


すみれはそこまで話すと、
スーッと息を吸い、
苦笑いをしながらまたことばを続ける。


「バカですよね。わかってるんです。
彼は自分の好きな相手しか見てないって。
でも…一緒にいる時は…
優しくしてくれるから…」


「バカだな。」


「…っ‼︎」


ハッキリとした口調で
すみれに向かって
キッパリ言ったのは黒尾だった。


わかってはいても
人に直接ハッキリ言われるのは
誰でもキツイものだろう。


それはすみれとて例外ではない。


「そうですね。
オレもそう思います。」


「…っ⁈」


赤司にまで言われ、
すみれは目を潤ませるどころか
涙を流してしまう。


「泣くなって。
別におまえを責めてるんじゃねーって。」


黒尾か慌ててなだめると、
赤司は優しくすみれの涙をぬぐった。


「自分でもわかっているから、
すみれさんも泣いてしまうんですよね。」


「なぁなぁ、すみれちゃん?」


少し落ち着いてきたすみれに
黒尾が声を掛ける。


すみれは不思議そうに黒尾に目を向けた。


「すみれちゃん、ぜってぇ今
視野が狭くなってんだよ。もったいねぇ。」


「…はい。」


「じゃ、視野を広げてさ?
そんなアホ男やめてオレにしとかねぇ?」


グイッと顔を寄せてくる黒尾に
思わず真っ赤になってしまうすみれ…。


「すみれさん、視野を広げるなら、
黒尾さんじゃなくて
オレにしといたほうがいい。」


今度は手を握ったままの赤司が
グイッと顔をすみれに寄せた。


/ 69ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp