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〜Cafe myosotis〜

第10章 -雨のおくりもの-(黒尾/赤司)


「あの…別に理由とかは…」


すみれはことばを濁すが、
黒尾はそれを許さなかった。


「なぁ?すみれちゃん?」


黒尾はカウンターの中から
すみれの顔を覗き込んだ。


「…っ⁈」


「今会ったばっかのオレらに
そんな遠慮すんなって。
よく知ってる奴らより、
よっぽど話しやすいんじゃね?」


「でも…自分でも…よく…」


「あん?なら、尚更いいじゃん。
思ったコト、口に出せって。
話すと楽になるぞー?
ちゃーんとオレらが聞いてやるから。
な?」


黒尾はすみれの頭をポンポンとして、
ニッと笑ってすみれを見つめた。


「わたし…素直じゃなくて…」


「あぁ。そんな感じだな(笑)」


「ひどっ‼︎」


黒尾のことばで、やっと
自分のコトを話そうとしたすみれに
黒尾は間髪入れずツッコミを入れる。


「黒尾さん、ちゃんと
話聞くんじゃなかったんですか?
すみれさん、気にしないで続けてごらん?」


赤司は優しくすみれの手を握り、
話のつづきを促した。


「あ…会いたいけど…会いたくなくて…」


「なに?男?」


黒尾の問いにすみれは小さく頷き、
さらにことばを紡いでいく。


「でも…会っちゃいけないのに…
やっぱり会いたくて…。」


「「…っ⁈」」


黒尾と赤司は同時に顔を見合わせる。


口を開いたのは黒尾だった。


「すみれちゃん、一応聞くけど、
それってまさかいわゆる昼顔的な?」


「えっ⁈ち、違いますっ‼︎」


すみれのことばに2人はホッと安堵する。


「じゃあ、なんで
”会っちゃいけない”んだい?」


今度は赤司が尋ねる。
優しくゆっくりした口調で。


「彼も…好きな人がいるから…」


「「…⁈」」


「三角関係ってコト?」


「いえ…三角関係というか…
それぞれ一方通行のような…。
最初は彼の相談に乗っているだけでした。
でも、わたしはどんどん彼のことを
好きになってしまって…」


すみれはそこまで話すと、
ホットワインの残りを飲み干した。


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