• テキストサイズ

〜Cafe myosotis〜

第9章 -1日の終わりに-(東峰/木吉)


ちょうどその時、
木吉がホットココアを持ってきて、
すみれの前にコトリと置いた。


「ありがとうございます。」


すみれは
ホットココアのカップを
両手で包みこんだ。


「ち…ちがっ‼︎口説いてるとか、
そういうわけじゃ…」


「じゃあ、どういうわけなんですか?」


「だ…だから…それは…‼︎」


一見、木吉がからかっているように
見えるのだが、
だんだんそういうわけではない…
とすみれは気付く。


木吉は素で言っているのだ…と。


「すみれさんだって、
口説かれてると思いましたよね?」


「えっ⁈」


そんな天然木吉からの、
思わぬ自分へのことばに、
すみれはことばが出ない。


「はぁ…木吉…
それくらいにしとけ?な?」


木吉のボケの対象が
すみれに移ったコトにより、
冷静さを取り戻した旭は、
ため息をつきながら、
天然木吉をたしなめた。


「ふふ…お2人は面白いですね。」


そんな2人を見て、
すみれはクスクス笑い、
笑顔を見せた。


「はは…面白いのは木吉だけどね。」


「ん?オレは面白くないぞ。」


「…っ⁈ふふ…あはは…っ‼︎」


すみれは笑いをおさめるために、
一口ホットココアを飲む。


「…‼︎美味しい!」


「ん?そうか?よかった。」


両手でカップを持ち、
とろんとした目で、
ホットココアを味わうすみれを見て、
木吉は嬉しそうにすみれの頭を
ぽんぽんとした。


「これで夜は眠れそうかな?」


「え…?」


突然の木吉のことばに、
すみれは木吉を見上げて見つめる。


「眠れなくて…ココに
来たんじゃないのかな…って、
思ったからな。」


優しい目で見つめながら、
木吉はすみれの無言の質問にこたえた。


「オレも同じようなコト思ったかな。
…家にいたくなかったの?」


木吉に続けて、
旭も優しくすみれに言うと、
すみれはハッとしたように
2人を交互に見つめた。


「家が…キライなわけじゃないんです。
家族も大切だし、もちろん好きだし…」


2人は黙ってすみれのことばに
耳を傾けた。


/ 69ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp