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〜Cafe myosotis〜

第9章 -1日の終わりに-(東峰/木吉)


「え…?」


「木吉?
勝手に決めるなって…」


木吉のことばに、
すみれと旭はポカンとしていた。


「好きか?嫌いか?」


だが、こうと決めたら
真っ直ぐな木吉は、
旭のことばに返事をせず、
すみれに返事を求めた。


「えっと…好き…です。」


「んじゃ、決まりな。」


そう言った木吉は、
すみれに背を向け、
カウンターの中のコンロに火をつける。


ただの後ろ姿なのに…
すみれは逞しい木吉の背中に
思わずドキッとしていた。


「なんか、すみません。
ホットココアは木吉からなので、
よかったら、他に
好きなモノ選んでください。」


「え?」


「あ、そんなに
たくさん飲めないかな。」


旭は頭をポリポリとしながら、
すみれの顔を覗き込んだ。


「(ドキッ…)ありがとうございます。
でも、大丈夫ですよ。
もう時間も遅いし…。
それに、ホットココアは、
リラックス効果とか安眠効果もあるから
夜寝る前に飲むのにいいって、
ネットで見たコトあるし。」


すみれはニコッと微笑んだ。
旭の気遣いが嬉しかったから。


「そっか。それならよかった。
でも…」


「…?」


すみれはきょとんとして、
旭の顔を見つめ返した。


「やっぱり寝る前に来たんでしょ?」


「な…っ⁈」


”なんでわかったんですか?”
そう言いたかったすみれだが、
ビックリしすぎてことばが続かない。


「なんとなくね。
服装もラフだし、
お風呂あがりっぽい雰囲気だし、
メガネもたぶん…普段は
コンタクトなんじゃないかな…
と、思って。」


「す…すみませんっ!」


「えぇっ⁈なんで謝るの⁈
いや、謝るコトなんて何も…」


旭の鋭い洞察力に、
思わずすみれは謝ってしまった。


「だ…だって…スッピン…」


真っ赤になったすみれは、
そのまま顔を手で覆った。


「スッピン…可愛いのに。」


「な…っ⁈」


「きっと化粧してもキレイなんだろうけど、スッピンも可愛いです。
きっと他の人はあまり見れない、
レアな姿ですよね?」


ニッコリ微笑む旭に、
すみれはさっきから何も言えない。


「旭さんだって、
口説いてるじゃないっすか?」


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