第8章 -感謝の気持ち-(花巻/青峰/岩泉/鎌先/木吉)
「それならオレもだ…。」
木吉につづいたのは岩泉だった。
「すみれはツボが同じというか…
いつもすみれのことばでオレは
笑顔になれたし、キツい時も全部
すみれに励まされてた。
すみれの笑顔がオレの支えだし、
感謝しっぱなしだな。
オレにはもったいないことばを
いつもくれるんだ。」
「はぁ…おまえらもかよ…」
そこで声を発したのは、
意外にも青峰だった。
”おまえらも”という青峰のことばに、
他の3人は思わず顔を見合わせる。
「オレだってすみれには、
すんげぇ嬉しいことばたくさんもらったし、
こいつ無しじゃやってけねーよ。
ことばじゃ言い表せられないって…
マジであんのな。」
「そうだな…」
先ほどまで一番
青峰に食ってかかっていた鎌先も、
思わず青峰のことばに頷いていた。
「今度はオレたちがすみれの話…
聞いてやんねーとな。
オレら、いつもすみれのことばに
救われてるよな。」
青峰の膝で眠るすみれの頭を
岩泉はそっと撫でながら言った。
「あぁ。すみれにはほんと普段から
”ありがとう”ってことばにしても
足りないくらいの嬉しい気持ちを
たくさんもらってるからな。」
木吉はそう言うと、
もう一度すみれの背中を撫でた。
「はぁ…ほんとことばって不思議だよな。
すみれに伝えたい感謝の気持ちが
すんげぇあるのに、
ぜんぜんうまくことばにできねぇ!」
鎌先はダランと落ちたすみれの腕を取り、その手をギュッとした。
カランカラン…
「ん?おまえら、何してんだ?」
しんみりした4人の中に突如現れたのは、
マスターの花巻だった。
キョトンと不思議そうに
カウンターまで来た花巻は、
青峰の膝に眠るすみれを見て、
即座にすみれを起こした。
「おい‼︎すみれ‼︎起きろ‼︎
なんで青峰の膝で寝てんだよ⁉︎」
「あん⁈おい‼︎何してんだよ?
すみれ、起きちまうじゃねーか!
せっかくオレの膝で寝てんのによ?」
マスター相手にも動じない青峰は、
花巻からかばうように
すみれの背中を押さえたが、
すみれは起きてしまった。
「ん…ふぁ…あ…れ?わたし…?」