第6章 -ありがちだけど-(花巻/岩泉)*
ガチャ…
「ん?終わったのか…?」
ドアの開く音に気付いた岩泉は、
顔をあげてハッとする。
「じゃーーん!
すみれちゃん、可愛いだろー?」
花巻はすみれをエスコートするように
すみれの手を取ってカフェに入る。
「あ…あぁ…。」
「えっ…⁈」
花巻のことばに頷いた岩泉…
その岩泉の反応にまた赤くなるすみれ…
「もっとちゃんと褒めろよー?
なぁ?すみれちゃん?」
「あ…いえ…そんな…」
岩泉をジッと見つめるすみれ…
「い…いいんじゃねーの?」
すみれを見たいのに、
恥ずかしくて見れない岩泉は、
チラチラとすみれを見ていて、
あるコトに気づく。
「可愛いけど…前髪短くねーか?」
「あ…」
すみれは鎖骨あたりまでの髪に
緩いパーマをかけ、
綺麗めな上品な茶色の髪になっていた。
「お〜⁈岩泉でも気付いたか〜?
可愛いだろー?オレとお揃い♪」
そして、前髪は花巻ほどではないが、
眉毛の上あたりでアシンメトリーに
ジグザグにカットされている。
先ほど前髪をどうするか
花巻に聞かれたすみれは、
『花巻さんと同じがいい』
と、こたえたのだった。
「ふぅん。
前髪だけは早く伸びるといーな。」
「えっ⁈やっぱり似合わないですか?」
「ばっ…ちげぇよ!」
しゅんとするすみれの反応に焦る岩泉…
その岩泉を見て、花巻はクスクス笑ってしまう。
「すみれちゃん、ちげーって。
オレとお揃いだから嫉妬してんのー♪」
「おいっ‼︎」
「えぇっ⁈」
すみれは今度は目を丸くして驚いていた。
「あ!岩泉!オレもすみれちゃんに
特効薬あげたから♪これでおあいこな?」
「は…花巻さんっ⁈」
「花巻‼︎てめぇ‼︎
すみれに何してんだよ⁈」
「はぁ⁈最初に”特効薬”とか言って、
手ぇ出したの岩泉じゃーん!」
「…っ⁈おま…っ…」
「うん。見てた(笑)」
「あ…あの…」
それまで真っ赤になって
2人のやりとりを
聞いているだけだったすみれが
やっと口を開いた。
「お2人は…
わたしをからかってるんですか?」
「は⁈」
「なんでそうなるんだよ⁈」