第6章 -ありがちだけど-(花巻/岩泉)*
「だって…」
憤慨している2人は、
今のところ静かに
すみれの次のことばを待っていた。
「だって…さっき…お店に来て…
初めて会ったばかりなのに…
話を聞いてくれたのは嬉しかったけど…
でも…あの…キスとか…あんな…」
すみれは真っ赤な顔で、
少しずつことばを紡ぐ。
そのことばを受け取り、
先に岩泉が口を開いた。
「なんでって…なぁ?」
「なぁ?岩泉?」
岩泉と花巻はすみれのことばの意味が
わかってるのかわかってないのか、
2人で首をかしげていた。
「さっき会ったばかっかとか
関係ねーだろ?」
「え…?」
「すみれに惹かれちまったし。」
サラリと言う岩泉…。
「うん。オレもどっちかっつーと、
一目惚れだったけどー♪」
こちらもまたサラリと
とんでもないことを言ってのける。
すみれはただただ目を見開いて
固まるだけだった。
「というわけで、これからよろしくな。
すみれちゃん♪」
「すみれ、オレにしとけよ?な?」
「あ!なんで岩泉、
呼び捨てなんだよー?
オレも”すみれ”って呼ぼー。
つぅか、岩泉!
ほんと手ぇ出すの早すぎ!」
「はぁ⁈おめぇこそ、向こうで
すみれに変なコトしてねぇだろうな⁈」
「ふふ〜ん♪教えねーよー♪」
「てめぇ‼︎」
「わたし…フラれてココにたどり着いたのに…モテ期…来たのかな…」
すみれを無視して
やんややんや言い合う2人を見て、
思わず笑みのこぼれるすみれ…
フラれて凹んでいたはずのすみれには
いつのまにか笑顔が戻っていた。
---End---