第3章 君の名を呼んだ
有希ちゃん……ごめんね。
こんなにも弱い僕を許して。
だって僕は気付いてしまったんだ。
もう……僕では君を守れない。
僕の命を狙う奴等から逃れて、有希ちゃんと二人で遠くへ行く事も考えた。
だけど僕はそう遠くない将来、確実に君を一人にしてしまう。
有希ちゃんを一人残して自分が逝ってしまう事を考えた時、恐怖で身体が震えた。
あの時……有希ちゃんは彼奴らから庇うように僕の身体を抱き抱えて、脅されても微動だにしなかったね。
それが………とても怖かったんだ。
僕の為に命を捨てる事を全く厭わない君を見て、僕が逝ってしまったら跡を追うんじゃないか……と不安になった。
それは僕の自惚れかもしれないけど、それでも君が命を絶ってしまう可能性なんて微塵も残したく無いんだ。
だから今のうちに君から離れるよ。
凄く辛くて苦しいけど………
君は君を愛してくれている人の側で幸せになって欲しい。