【進撃の巨人】 never ending dream R18
第12章 強く結ぶ~剣舞~
「少しはゆっくり出来ているのか?」
ミケが尋ねる。
「えぇ。本を読む時間もあるくらいだ。
気楽なもんだよ…。」
分隊長を退任したサラに与えられた役は、副分隊長でも班長でもなく、新兵の訓練補助であった。
「少し休みでも取って、遠くへ行って来たらどうだ?」
「遠くか…。
それなら壁外へ行きたいよ。」
サラの言葉に、ミケはフンと鼻で笑う。
「それより…次回の壁外調査の日程はまだ決まらないのか?」
サラが尋ねる。
「詳しい日程はまだだが、現段階では半年後の予定だ。」
団長、そして分隊長以外の者が兵団内での会議に出席する事は禁じられていた。
兵団の動きが全く把握出来ないこの状況に、サラは苛立ちを覚える。
しかし、もとをたどせば自分の浅はかな行動が招いた事だ。
今はただ、キース団長、各分隊長、そして…ミケに託すしかない、サラはそう思った。
「ミケ分隊長…。
これからは君の指示に従うよ。」
「…お前らしくないな。」
ため息にも似たサラの言葉に、ミケはそう答えた。
サラは殺風景な部屋を見渡す。
手伝うことは特に無いと言っていたが…木製のベッドにはまだ寝具が畳まれたままだった。
サラは椅子から立ち上がると、ベッドに置かれた寝具に手を伸ばす。
「枕の向きはどちらだ?」
そう尋ねながら、サラはシーツを広げる。
「お前はどちらを向いて寝ているんだ?」
「私は西だ。
確か…フラゴンもそうだったよ。」
本を並べていたミケの手が、一瞬止まった。
「お前は…フラゴンの部屋に入った事があったのか?」
「えぇ。一度だけ。」
シーツを敷くサラの後ろ姿を、ミケはただ見つめていた。