• テキストサイズ

【進撃の巨人】 never ending dream R18

第34章 命令


次の瞬間、カシャンと音を立て、男の持つ刃が地面へ落ちた。

男の口元からは真っ赤な鮮血が流れる。

一体何が起こったのだろう。

リヴァイは朦朧とする意識の中、男の身体へと視線を向けた。



「…サラ?」



膝からゆっくりと崩れ落ちていく男の身体には、細長い刃が突き刺さっていた。

それは、サラの持つ“ニホントウ”と呼ばれる刀。

100年以上前、サラの先祖によって壁外から持ち込まれた刀だった。

それを持ち、可憐に舞うサラの姿を、リヴァイは幾度となく見てきた。

その舞姿は息を呑むほど美しく、身震いがした。

そんなサラが手にしていた“ニホントウ”。



「………サラ…」



そう名前を呼ぶ。

倒れた男の背後に現れたのはサラだった。

しかし、先ほどの爆風に巻き込まれ、リヴァイ同様立ち上がる事さえ出来ない。

腹部から流れる血。

地面を這い、男の背後から刀で心臓を突き刺したのだろう。

力尽き、リヴァイの横へと倒れこむサラの瞳は、命の終わりが近付いている事を告げていた。



「………リ…ヴァイ…」

そう、サラの唇がわずかに動いた。

リヴァイは剣を捨て、サラの頬に触れようと手を伸ばす。



巨人化する事の出来る液体を使い、救いたかった命。

その命が、今手の届く場所にあった。



リヴァイは必死で手を伸ばすが、サラの頬に触れる事は出来ない。

たったひとりだけ救う事が出来るのならば…リヴァイの願いはサラだ。

それは調査兵団の団長としてではなく、ひとりの女として。



愛する女を救いたい。



戦いが終わりを迎えた今、リヴァイの頭にあるのはサラの存在のみだった。






/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp