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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第34章 命令


その瞬間、ヒュンと刃がリヴァイの頬をかすめた。

目の前に立つ傷だらけの男。

手には折れかけた刃が握られている。

それが先ほど仕留めたはずの獣姿の巨人の“中身”である事にリヴァイはすぐに気が付いた。

生き絶える寸前の所で巨人の身体からはい出てきたのだろう。

呼吸は乱れ、立っているのがやっとといった様子だ。



「…てめぇ。」

戦いは終わってなどいなかったのだと、リヴァイは鋭い眼差しで男を見上げた。

武器は既に使い果たしていた。

傍らに転がる剣は使い物にならないだろう。

それは目の前にいる男も同じ事。

リヴァイは男へ視線を向けたまま、ゆっくりと剣へ手を伸ばした。



一瞬、頭をよぎったのは“あの液体”だった。

人間を巨人へと変える事の出来る液体。

注射器に入れられたそれは、リヴァイのジャケットの内ポケットにあった。



“君に託すよ。”

壁外へと発つ前、そうサラから手渡された。

巨人化により、延命させる事も可能。

今この瞬間にも消えてしまいそうな命を、たったひつだけ救う事が出来る。

それは自分か…。

それとも…。



「…死ね。」

男の刃がリヴァイ目掛けて振り下ろされた。

その刃を、リヴァイは手にした剣で受け止める。

どちらかが死ぬまで、この戦いは終わらないだろう。

リヴァイは残された力で何とか男の刃を押しのけた。

しかし、立ち上がる事の出来ないリヴァイにとっては、こうして時間を稼ぐのが精一杯だ。

ジャケットの内ポケットにある注射器。

どうか…生きていてくれ。

リヴァイはそう祈るように、握り締めた剣を男へ向けた。






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