【進撃の巨人】 never ending dream R18
第34章 命令
850年
シガンシナの空はとても青く、ここが壁外だという事を忘れさせるほどの美しさだった。
仰向けに倒れたリヴァイは、どこまでも続く空を見上げ、大きく息を吸い込む。
無残にも食いちぎられた両脚。
身体は徐々に感覚を失っていく。
ここが自分の墓場なのだと、リヴァイは静かに瞳を閉じた。
“ウォール・マリア奪還作戦”
そう銘打ち、決行された今回の作戦。
ウォール・ローゼ内にある調査兵団本部を出発したのは昨晩の事。
暗闇に紛れ、何とかシガンシナ区へとたどり着いた調査兵団一行を待ち受けていたのは、巨人化の力を持つ少年、エレン・イェーガーの同期である“ベルトルト・フーバー”“ライナー・ブラウン”だった。
エレンの力を使い、シガンシナ区外門に開けられた穴を塞ぐ事に成功したのも束の間、彼等は超大型巨人、鎧の巨人へと姿を変え、リヴァイ達に襲い掛かってきた。
迫り来る無知性の巨人達。
その中に紛れ、姿を現した獣姿の巨人。
生き絶えていく兵士達の中、リヴァイは剣を振るい続けた。
「…そろそろ起きねぇとな。」
そう呟き、目を開く。
再び目の前に広がる青空。
辺りは静かで、草木を揺らす風の音だけが聞こえた。
戦いは終わった。
リヴァイは押し寄せる痛みに顔を歪ませながらも、人類の勝利を確信する。
一体、何人が生き残ったのだろうか。
思い浮かぶのはただ1人、愛しい女の姿だ。
「サラ…」
そう名前を呼んでみるが、そこにサラはいない。
先ほどの爆風で全てが吹き飛んだ。
漂う生臭い血の臭い。
そんな中、リヴァイはエレン・イェーガーの自宅地下室へ向かうため、身体を起こそうと試みる。
「…っくそ。」
両脚が無ければ歩く事も不可能。
しかし、リヴァイはサラの想いを成し遂げようと、朦朧とする意識の中、わずかに上体を起こした。