【進撃の巨人】 never ending dream R18
第33章 使命
850年
「気の早い話だが…
ウォール・マリアを奪還した後はどうする?」
会議を終え、団長室で資料をまとめるサラのもとへ現れたのはリヴァイだった。
ドアの前に佇み、机へ向かうサラへと真剣な眼差しで問いかける。
「何よりも防衛策の確立が先だと思うが…その後は…。」
そう話すリヴァイの表情はひどく曇っている。
ずいぶんと気の早い話だとサラは思ったが、リヴァイのその表情から、今回の“作戦”がいかに重要かつ危険なものであるかを改めて感じた。
2日後に決行される事となった“ウォール・マリア奪還作戦”。
憲兵団師団長であるナイルに付き添われ、サラが王都・ミットラスを訪れたあの日から2ヶ月。
この壁の中の状況は大きく変わった。
その中でも人類にとって大きな収穫となったのは、シガンシナ区に空いた穴を塞ぐ術を手に入れたという事だろう。
“巨人の力”を持つ少年…エレン・イェーガー。
彼が巨人化した後、身体を硬化させ穴を塞ぐ。
彼の生まれ育ったシガンシナ区の自宅地下室には、彼の父親であるイェーガー医師が残した“この世界”に関する何かが眠っているという。
巨人の正体が人間であると分かった以上、一刻も早く地下室へとたどり着き、謎を明らかにしたい。
サラをはじめとする兵士内の誰もがそう望んでいた。
そして、人間を巨人へと変える液体を手に入れた事も大きな収穫だった。
注射器に入れられたその液体は空気に触れるとたちまち気化してしまいうため、壁内の技術での分析は困難であり、“巨人化”という目的以外には使用する事が出来ないだろう。
しかし、敵の正体も分からぬまま、壁外へと向かっていた頃とは明らかに違う。
この壁の中にも未来はあると、ウォール・マリア奪還に向け、自ら調査兵団への編入を希望する兵士もいたほどだ。