【進撃の巨人】 never ending dream R18
第10章 強く結ぶ~追放~
「早く!!急いで下さい!!大変なんです!!」
そう訴える新兵の様子からも、ただごとではないと、サラは廊下を急ぐ。
サラが大部屋の前に着いた時には、既に人だかりができ、廊下でうろたえる新兵達の姿があった。
中には目に涙を浮かべている者もいた。
サラは慌てて大部屋の中へと駆け込む。
「リヴァイ!?」
部屋の中には、確かにリヴァイの姿があった。
しかし、そのあまりにも滑稽なリヴァイの姿に、サラは思わず吹き出した。
「リヴァイ…。君は一体何をしているんだ?」
「あ?見りゃあ分かるだろ?」
そう言いながら、窓から身を乗り出し、外側の窓を拭くリヴァイの姿は、あまりにも滑稽であった。
また、兵服とは全くの不釣合いな三角巾が、より面白さを増している。
その傍らでは、同じように三角巾を着けた新兵が数名、床の拭き掃除をさせられていた。
冬の夜に開け放たれた窓からは、冷たい空気が入り込み、同室の新兵達は廊下で肩を震わせている。
その光景の全てがサラには面白おかしく感じ、ただただ腹を抱えて笑うばかりだった。
そこへ声を掛けてきたのはモブリットだった。
リヴァイとほぼ同時期に入団したモブリットは、訓練兵時代から巨人の生態に強い関心を持ち、ハンジからは厚い信頼と期待を寄せられていた。
しかし、実際はその温厚な性格からか、自由奔放なハンジに振り回されているようにも見え、サラも何かと気に掛けている新兵の1人であった。
そんなモブリットの頭にも、真新しい三角巾が着けられていた。
「サラ分隊長…。
僕達が悪いんです。
リヴァイさんに立体起動の訓練をしてもらおうとお願いしたら…まずは部屋の掃除だって…。」
リヴァイによほど容赦なく働かされたのだろう、モブリットの顔は疲労感であふれていた。
そんなモブリットにサラは笑顔でこう言った。
「消灯時間まであと10分だ。
それまでに全員で終わらせろ。」