【進撃の巨人】 never ending dream R18
第10章 強く結ぶ~追放~
サラが調査兵団本部へと着く頃、辺りは闇に包まれ、冬の寒空に三日月がかかっていた。
サラは御者に礼を言うと、ぼんやりと明かりが灯る兵舎へと急ぐ。
消灯時間が近付いていた。
皆、各部屋で就寝前のひと時を過ごしている頃であろう。
サラは足音を立てぬよう、自分の部屋がある幹部棟へと向かった。
ふと、男子棟が騒がしい事に気付いた。
狭い土地を有効に使うために建てられた、コの字型の兵舎。
男子棟と女子棟が向かい合い、その真ん中に幹部棟が設けられている。
サラは、廊下の窓から男子棟を眺めた。
既に灯りが消えた部屋もある中、男子棟の大部屋だけが煌々とした明かりを放っている。
(あれは…たしかリヴァイがいる新兵の部屋…。)
そう思った時だった。
「サラ分隊長!!
助けて下さい!!リヴァイが!!」
薄暗い廊下の向こう側から、そう声を掛けてきたのは、リヴァイと同室の新兵だった。
嫌な予感がした。
ザックレーの言葉が、再び頭の中を巡る。
“彼は残虐非道な殺人鬼だ。”
そんな事は無いと、サラは自分に言い聞かす。
(なぜなら…彼は私を殺さなかったじゃないか。)
サラは急いで男子棟の大部屋へと向かった。