【進撃の巨人】 never ending dream R18
第10章 強く結ぶ~追放~
こうなる事を予想していなかったわけではない。
ロブォフの横領により、恩恵を受けている議員がいる事はもちろんサラも知っていた。
しかし、そもそもの目的が壁外調査の資金を確保する事だったサラにとって、横領に関わった人物を全て排除する事にはあまり興味がなかった。
そのため、標的を主犯であるロブォフに絞り、半年掛けて彼を追い詰める材料を揃えた。
主犯であるロブォフの追放は、横領に関わっていた人物達への見せしめにもなったはずだ。
しかし、貴族院のみならず、王都にはびこる私欲にまみれた政治腐敗は根深いものなのだとサラは知った。
いっそのこと、徹底的に争うべきか…。
ロヴォフ同様、証拠を掴み、1人ずつ引きずり降ろしてやろうか…。
しかし、これ以上敵を増やす訳にはいかない。
だからこそ、ザックレーも“複数の議員”という曖昧な言い方をしたに違いない。
そして何よりも、リヴァイの過去に関する書類。
こちらも弱みを握られている以上、下手には動けない。
サラは座席にもたれていた身体を起こすと、車窓から再び外を眺める。
傾き始めた太陽に、なぜかリヴァイの顔が頭に浮かんだ。
“彼は残虐非道な殺人鬼だ。”
ザックレーの言葉を思い出す。
エルヴィン団長なら…父さんなら、どうしたのだろうか?
サラはそっと目を閉じた。