【進撃の巨人】 never ending dream R18
第10章 強く結ぶ~追放~
サラは、調査兵団本部へと戻る馬車の車窓から、通り過ぎる街並みを眺めていた。
通りに面した広場では、子供達が笑顔で駆け回っている。
その傍らでは、女達が立ち話をしていた。
夕食のためだろうか、女達が下げている袋からは、パンが顔を覗かせていた。
その横を、男達は足早に通り過ぎて行く。
家族のために汗を流し、必死で働く男達のその表情は、勇ましくも温かく思えた。
当たり前の風景。
当たり前の日常。
“当たり前”と思えなくなってしまったのは、いつからだったろうか。
この“当たり前”の風景も日常も、一瞬で全てが消えてしまう…そんな危うい状況に置かれている事を知ってしまったのは。
サラはため息をつくと、座席にもたれ目を閉じた。
帰ってからも、やらなければならない事が山積みだ。
今のうちに少しでも休んでおきたい。
サラは車窓から入り込む、淡い冬の日差しの中、そっと眠りに落ちた。
しかし、微睡む意識の中で、思い出すのはザックレーの話だった。