【進撃の巨人】 never ending dream R18
第33章 使命
ふと、その男は私の視線に気が付いたのか、急にこちらを振り返った。
見慣れない顔。
しかし、無造作に束ねた髪のせいか、部屋中に漂う紅茶の香りのせいか…その顔はどことなくエリクに似ているような気がした。
「目が覚めたか?」
男はそう言いながら、ティーカップの紅茶を一口すすった。
無愛想な物言い。
しかし、男の姿にどこかエリクを重ねてしまっていた私は、ベッドに腰かけたまま、紅茶を飲み続ける男の顔をじっと見つめた。
「お前も飲むか?」
男はそう言いながら、戸棚に置かれたカップへと手を伸ばす。
「いえ、紅茶は苦手なんだ。」
「…そうか。」
男は手に取ったカップを再び戸棚へと戻す。
エリクに別れを告げたあの日から、私は一度も紅茶を飲んでいなかった。