【進撃の巨人】 never ending dream R18
第33章 使命
気が付いたのは医務室のベッドの上だった。
窓から差し込む朝日。
カチャカチャと食器がぶつかる音。
そして、懐かしくも切ない紅茶の芳しい香り。
私はゆっくりと身体を起こし、ベッドの周りを囲んでいるカーテンの隙間から部屋の様子をうかがう。
まだぼんやりとする意識の中、私の目に映ったのは柔らかそうな黒髪を無造作に束ねた男の後ろ姿だった。
「…エリク?」
その後ろ姿はかつての恋人にとてもよく似ていた。
部屋中に漂う紅茶の香りが、よりいっそう彼を思い出させる。
しかし、ここは調査兵団本部の医務室だ。
彼が居るはずなどない。
私は男の後ろ姿を見つめた。
白衣をまとった長身の男。
その男は手元のティーカップへと紅茶を注いでいるようだった。