第32章 エルヴィン・スミス②

「次回の壁外調査にはクレア・カーティスにも参加してもらう。」



そう、シャーディス団長に告げられたのは次の日の事だった。



団長室へと呼び出された俺は驚き、理由を問い詰める。



するとシャーディス団長は、「お前はクレア・カーティスに部下以上の特別な感情があるのか？」と言った。



一瞬黙り込んでしまった俺に、「団長は俺だ。全ての決定権は俺にある。」と、シャーディス団長は言い放った。



数年前、“彼女の件は君に全て任せる”と言っていたシャーディス団長が一体なぜ、今になって脚の不自由な彼女を壁外へと向かわせたがったのか…。



俺は何とか彼女を壁外調査から外すよう、シャーディス団長に訴えた。



しかし…



俺の言葉が届く事はなく、彼女は荷馬車の護衛として壁外調査に参加する事が正式に言い渡された。