【進撃の巨人】 never ending dream R18
第32章 エルヴィン・スミス②
その日の夕方、兵舎から本部へと向かう廊下でサラとすれ違った。
サラはまるで俺を警戒するかのように、手に持っていた紙袋を後ろへと隠した。
当然だろう。
今までともに暮らしていた幹部棟の部屋から女子棟の部屋へと移動させてからというもの、サラとの会話は無いに等しかったのだから。
心も身体も成長していく娘と、いつまでも同じ部屋で眠るわけにはいかない。
そう思っての事だったのだが、サラにはそれが上手く伝わってはいなかったのだろう。
しかし、そんなサラの横を、俺は黙って通り過ぎた。
一瞬、目が合ったような気がしたが、決して言葉かける事はなかった。
なぜなら…
長い髪をひとつに結わえたその姿は、サユリにとてもよく似ていた。
きっと俺の心の中には、どこか“後ろめたい”という気持ちがあったのかもしれない。