【進撃の巨人】 never ending dream R18
第32章 エルヴィン・スミス②
数時間後、彼女は再び執務室にやって来た。
手には、いれたての紅茶が注がれたティーカップと焼きたてのケーキ。
「よろしければ、召し上がって下さい。」
そう言いながら机の上へと置かれたケーキからは、甘い甘いバニラ砂糖の香りがした。
普段ケーキなどあまり口にした事のない俺は、その見た目の上品さに、何とも表現しがたいくすぐったさを覚えた。
クリームが添えられたケーキ。
女性ならばきっと、胸をときめかせるに違いない。
俺は彼女が見守る中、そのクリームをフォークで絡め取った。
甘いバニラ砂糖の香り。
その香りに、行き詰まっていた心がゆっくりと解されていくような…そんな気がした。
「…甘いですよ。」
そう彼女がつぶやく。
憂いを含んだ優しい微笑み。
その微笑みに、俺は胸の高鳴りを感じた。