【進撃の巨人】 never ending dream R18
第32章 エルヴィン・スミス②
完全に行き詰まってしまった俺に、彼女はいつも「ご無理をなさらないで下さい。」と優しく微笑みかけてくれた。
自分でも単純だとは思うのだが、彼女のその笑顔に、俺は少なからず癒されていたのだろうと思う。
そんなある日、いつものようにいれたての紅茶を届けてくれた彼女の長い髪に、小さな木葉が付いている事に気が付いた。
彼女は花が好きらしく、中庭の花壇ではよく子供達と花の手入れをしていた。
その時に付着したものだろう。
俺は机の上へとティーカップを置く彼女の髪へ、そっと手を伸ばしたのだ。
すると「…分隊長!?」と、驚いた表情を浮かべながら、彼女は顔を紅潮させた。
それもそのはずだ。
突然、男に髪を触られて驚かない女性はいないだろう。
彼女はそっとうつむき、黙り込む。
俺も女性への接し方に慣れているわけではない。
何とも気まずい空気だけが、俺達の間に流れた。