【進撃の巨人】 never ending dream R18
第32章 エルヴィン・スミス②
地下室は廊下の先にあった。
今までその存在すら知らずにいた。
地下室の扉は破壊され、俺を招き入れるかのように大きく口を開けていた。
俺は手持ちランプの明かりを灯し、地下室へと入る。
ひどく淀んだ空気が、部屋の中に溢れていた。
ふと、足の裏に、ねっとりとした感触が伝わってきた。
濡れているのかと、ランプの明かりで床を照らす俺の目に飛び込んできたのは、水溜まりのように広がった、赤黒い人間の血液だった。
やはり…
サユリが事故に遭ったというのは偽りだった。
俺はその場にうずくまり、その血液に触れる。
ひどく冷たいその血液は、サユリのもので間違いないだろう。
壁外では幾度となく命が終わる瞬間を見てきたはずだった。
しかし…
愛するサユリの死は…俺に深い深い哀しみと憎悪をもたらした。