第31章 永久に碧く～月の歌～

私は父のマントをまとったまま、団長室を飛び出し、兵舎の屋上へと向かった。



手には葡萄酒のボトルとグラスが2つ。





単なる父の真似事。





あの日の父と同じように、空高く昇る月を見ながら葡萄酒を飲めば、何かが変わるような気がした。





私は父に導かれるように、屋上の縁へと腰を下ろし、2つのグラスに葡萄酒を注いだ。





星空の中に光輝く片割れ月。



葡萄酒を一口飲み込むと、瞳からは涙が溢れだした。



ぼんやりと滲む月を見つめながら、もう一口葡萄酒を飲み込む。





あの日の父は、一体誰を想ってここへ座っていたのだろうか…。