【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
最後に父に抱き締められたのは、いつだっただろうか。
あれは私が調査兵団になる事を決意した日の事だっただろう。
クレアが壁外で命を落としたと知ったあの日。
“クレア・カーティス”
父が生涯愛した女性…。
「…父さん。」
私はもう、父の温かい腕に触れる事は出来ない。
カーテンの開いた窓からは美しい星空が見渡せた。
その星空の真ん中で輝く片割れ月。
ふと、私は初陣から帰還した日の出来事を思い出す。
“お前が考えているほど、調査兵団は甘くはない。
調査兵団の命には優先順位がある。
それはすなわち、切り捨てなければならない命があるという事だ。
もし、お前がそれを理解する事が出来ないのならば…ここにお前の居場所は無い。
今すぐ出ていきなさい。”
そう言い放った父。
そしてその夜、兵舎の屋上に座り、月を見ながらひとりで葡萄酒を飲む父の後ろ姿を見た。