【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
ふと、団長室の椅子の背もたれに何かが掛けられている事に気が付いた。
父がいつも掛けていた机の椅子。
その背もたれに掛けられた布状の物。
それは見慣れた調査兵団のマントだった。
私はそっと手を伸ばし、そのマントに触れた。
付着していた血液はすでに酸化し、黒く変色している。
フワリと香る父の匂い。
今はもういない、愛しい父の香りがした。
父のマントを持ち帰ったのはミケだった。
最期の瞬間、ヒラリと地面へ落ちた父のマント。
それを拾い、持ち帰ったのだろう。
13代団長、エルヴィン・スミスの生きた証だ。
私はそのマントを広げ、身にまとう。
先ほどよりも強く感じる父の匂い。
父の大きな腕に抱き締められているような…そんな気がして胸が熱くなった。