【進撃の巨人】 never ending dream R18
第1章 寒い夜
ふと、先ほどの肖像画がリヴァイの目に飛び込んできた。
ドアの上に掛けられた肖像画。
それは丁度、サラの机と向かい合う様に掛けられている。
白いシャツにキャメルのジャケット。
その胸には自由の翼の紋章が描かれている。
金髪で青い瞳をした凛々しい顔立ちの男。
それは、サラにとてもよく似ていた。
そして何より、男の首元に描かれているループタイは、いつもサラが身に着けている物だった。
「サラ…。」
リヴァイの問いかけに、サラは目線だけをリヴァイへ向けた。
「あの、肖像画は?」
サラの目線も、肖像画へと移る。
「…調査兵団13代団長、エルヴィン・スミス。私の父だ。」
サラの表情が少しだけ和らぐ。
「東洋人のお前の瞳が、なぜ青いのか疑問だった。」
ふふっと、サラは笑う。
「母が東洋人なんだ。黒髪のとても美しいひとだった。
…よく覚えていないが。」
サラはうつむき、そして肖像画をまた見上げた。
「幼い頃は、父が苦手だった。
父はいつでも私達とは違う…もっと大きな視点で物事を見ていた様な気がする。
その冷静な判断や思考、作戦立案や着手方法は、時に冷酷で非情なものにも見えた。」
サラ、それはお前の事だろう?
心の中でリヴァイはサラに問いかける。
リヴァイは、サラに出会った日の事を思い出していた。
「幼い私には、父の冷酷さや非情さなんてものは分からない。
ただ…感情を全く表に出さず、仮面を被った様な表情の父がいつも恐かった。」
サラから父親の話を聞くのは…3年前のあの日以来だ。
リヴァイは静かに、サラの言葉を待つ。
「今は…思い出すのは父の事ばかりだ。」
サラはまたうつむいた。