第31章 永久に碧く～月の歌～

第1補給所を発ち、シガンシナ区を目指す。



兵士達の間にあった不安と恐怖は、わずかな希望へと変わっていく。





初列・策敵の兵士から赤い進煙弾が撃たれる。



選択を間違えれば、私達に訪れるのは死。



私は灰色の空に向かい、緑色の進煙弾を撃ち放った。



どうか…どうか、私達をシガンシナ区へと導いて欲しい。



そう、強く願いを込めた。





しかし…





私の願いは、左翼側から突如撃ち放たれた一筋の黒煙にかき消されていった。





「サラ、奇行種だ！！」



私の後ろを走るミケがそう叫ぶ。



「えぇ…。

この距離、避けられない。」





遂にこの瞬間が来てしまったと、私は思わず息を呑む 。



昨日の奇行種が再び現れた可能性が高い。





昨日…

父を食い殺した奇行種。





「モーゼス分隊長、後の指揮をお願いします！！」





私は緑色の進煙弾を撃ち放つと、ミケと共に指揮班を離脱した。