【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
口元から流れる血。
赤黒く染まった兵服。
両手に握られた剣は折れ、巨人との激しい戦闘があった事を物語っていた。
「…トージ!!今助けるから!!」
そう叫び、巨人の身体目掛けてアンカーを発射した。
こんな姿の弟など見たくはなかった。
いつも泣き虫で、甘えてばかりだった弟。
そんな弟が兵士になるなど、始めから無理な話だったのだ。
どうして、あの時止められなかったのだろう。
訓練兵団に入団すると打ち明けられたあの日。
どうして必死に止めなかったのだろう。
錯乱状態の中、発射したアンカーは巨人のうなじからはわずかに外れ、どんなに高く飛ぼうとも、致命傷となる傷を負わせる事は出来なかった。
骨に当たった刃は折れ、地面へと落ちていく。
苦しみもがく巨人は、手の中の弟をさらに強く握り締めた。