【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
なぜだろう。
その瞬間、雨足が急に弱まった。
私は霧の向こうへと目を凝らす。
いつ奇行種の群れが私に気付き、襲いかかってきてもおかしくはない。
私は深めに被っていたマントのフードを脱ぎ、黒く大きな影へと狙いを定めた。
その時だ。
「姉さん!!姉さん!!」
弟の悲痛な叫び声が聞こえた。
それは思い出の中の幼い弟の声ではなく、青年へと成長した、現実の弟の声だった。
近くに弟がいるのだろうか。
私は驚き、構えた剣を下ろす。
霧が晴れ、徐々に鮮明になっていく大きな黒い影。
「…トージ!?」
姿を現した奇行種の手には、愛する弟の身体が握られていた。