【進撃の巨人】 never ending dream R18
第9章 出会い~後悔~
サラは、グラスに残された葡萄酒を、一気に飲み干した。
2つ並んで置かれていたグラスの片方が空になる。
もう片方のグラスには、まだ葡萄酒が残されていた。
まるで誰かのために注がれたような葡萄酒。
それは、青白い月光に照らされ、宝石のように輝いていた。
サラは、2つのグラスを持つと、ゆっくりと立ち上がった。
一瞬ふらつくサラを見て、大酒をくらったのだろうと、リヴァイは思った。
いつもと様子が異なっていたのも、酒のせいであろうと推測する。
サラが立ち去るのを、リヴァイは背中で感じていた。
青白く輝く満月を、リヴァイはまた見つめる。
ひとりになると、やはり押し寄せてくるのは後悔の念であった。
“世界は終わってくれない”
“残された者だけで、世界は進んでいく。”
やり場のない後悔は、リヴァイの心を蝕んでいった。
その時だった。
「リヴァイ。」
サラの声がした。
後ろを振り返ると、そこにはまだサラの姿があった。
全てを見透かしたような青い瞳で、リヴァイを見つめる。
そしてサラは、リヴァイにこう告げた。
「リヴァイ…後悔するな。
後悔の記憶は、次の決断を鈍らせる。
そして、決断を他人に委ねようとするだろう。
そうなれば、訪れるのは死だ。
結果など、誰にも分からない。
1つの決断が、次の決断の材料にして初めて意味を持つ。
後悔するな、リヴァイ。
私も…しない。」