【進撃の巨人】 never ending dream R18
第9章 出会い~後悔~
サラは葡萄酒を一口飲み込むと、穏やかな口調で語りだした。
「あの時…全てが終わったと思った。
このまま世界は終わるのだと…。
しかし、終わらなかった。
地獄のような苦しみが心を襲い、立ち上がる事さえ出来ない私達に、当たり前のように朝がやってきたんだ。
この世界は残酷だ。
どんなに辛く苦しみもがこうとも、美しい日の出とともに朝がやってくる。
私達に“生きろ”と言うんだ。
世界は終わってくれない。
残された者だけで、この世界は進んでいく。
その時思ったんだ。
私達は、この世界の構成要因のひとつでしかなかったんだと。
歯車のひとつにしかすぎなかったんだと。
私は…父がこの世界を変えてくれると思っていた。
おかしいだろ?
とんだ思い上がりだったよ。」
サラはまた一口、葡萄酒を飲み込むと、青白く光る満月を見上げた。
「だからこそ…あがきたいんだろうな。
私も…そして、君も。」
サラの声がわずかに震えた。
満月を見上げるサラの横顔を、リヴァイは見つめる。
透き通ったサラの青い瞳は、月の光を浴び、美しさを増していた。
そして、その瞳からは一筋の涙がこぼれていた。