【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
私は馬から飛び降りると、進煙弾を握り締めたまま息絶えている兵士を抱き起こした。
それは弟と同期の新兵。
弟よりも後列に配属されていた兵士だった。
弟…そして他の兵士達は一体どこへ消えてしまったのだろうか。
陣形が乱れていなければ、弟が配属されていた次列五にぶつかっていてもおかしくなかった。
いや、この雨と霧では数m先も確認する事が出来ない。
すれ違ったのか、それとも…。
冷たい雨は、体温とともに思考力さえも奪っていった。
ふと足元を見ると、ぬかるんだ地面に数体の巨人の足跡があった。
少なくとも3体…いや、5体はいるだろうか。
この足跡の正体が、きっと弟や兵士達を襲ったのだろうか。
最後の力を使い、進煙弾を撃ち放った新兵。
その進煙弾の色は“奇行種”を表していた。
「…奇行種が群れで現れたのか?」
私は新兵の亡骸に手を合わせ、数体の巨人の足跡を追い掛けた。