• テキストサイズ

【進撃の巨人】 never ending dream R18

第31章 永久に碧く~月の歌~


弟がいるであろう場所へ向け、必死で馬を走らせた。



痛い程の雨粒が顔にぶつかる。



わずかに目を開けているのがやっとだった。



ふと、幼い頃の弟の姿が頭に浮かんでは消えていった。





泣き虫で、甘えてばかりだった弟。



誰からも愛され、いつも父やクレアを独占していた弟。





…いつだっただろうか。



あれは母がいなくなってしまった日。





“トージ、先に行かないで。”



歩くのが大好きだった弟は、私を追い越し、ひとりで先を行ってしまった。



あの日も弟を必死で追いかけながら、遊び場である広場へ向かった。







弟が配置されていたのは、右翼側次列五。



私は手綱を握り締め、馬の速度を上げる。



弟だけは絶対に死なせはしない。



そう…強く思った。





その時だった。



ふと、霧の向こうに黒い煙らしきものが見えた。



それは篠突く雨にかき消され、空へと上る事は無かったが、確かに黒の信煙弾だった。



「奇行種!?」



私はそう叫ぶ。





霧の中、進煙弾を持つ兵士の腕が見えた。





/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp