【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
目的地である第2補給所属へとたどり着いた私達の間に、言葉にならないどよめきが走る。
いくら待てども、陣形後方の兵士達がやって来なかったのだ。
数にして部隊の約6割。
まるで神隠しにでもあったかのように、私達指揮班の後ろを走っていたはずの兵士達が姿を消してしまった。
「…トージ。」
その瞬間、私の脳裏に浮かんだのは弟であるトージの姿だ。
多くの直属の部下達ではなく、肉親である弟。
次列五・伝達に配属されていた弟は、私のはるか後ろを走っていた。
気が付くと私はマントのフードを被り、篠突く雨の中、来た道を引き返えしていた。
「サラ!!」
後ろからは私を呼び止めるミケの声がした。
団長である父の指示ではなく、私自身の意思による勝手な行動。
本来ならば絶対にあってはならない事だ。
しかし、この時ばかりは団長の意向を聞いている余裕などなかった。
なぜなら…
今、この瞬間にも巨人と戦い、助けを求めているであろう兵士は、私のたった1人の弟だったからだ。