【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
ふと、父の胸元に視線を向ける。
すると、いつも身に付けているループタイが切れかけている事に気が付いた。
私が物心ついた頃からいつも父の胸元で青く輝いていたループタイ。
大切な物なのだろうと、幼いながらにいつも感じていた。
「…団長。」と私がループタイを指差すと、父は「あぁ…。」と短く返事をし、ループタイを握り締めた。
「もしよろしければ、私がお預かりしましょうか?」
私はそう尋ねる。
落としてしまっては困るだろうと思ったからだ。
父は少し考える素振りを見せると、切れかけたループタイをゆっくりと外した。
しかし、父はそのまま自身のマントの内ポケットへと、ループタイを大切そうにしまった。
「肌身離さず持っていたいんだ。」
そう話す父の表情は、いつもと変わらず仮面を被ったような無表情であったが、どこか柔らかさを帯びていた。
その表情に、私はそれが“特別な誰かからの贈り物”だという事を感じた。
特別な誰か…。
“クレア・カーティス”
そう、私は思った。