【進撃の巨人】 never ending dream R18
第30章 永久に碧く~想い~
1年が経ち、弟であるトージが調査兵団に入団した。
私が調査兵団に戻って来た3年前のあの日から、一度も会う事のなかった弟。
同期の仲間達に囲まれ、笑みをこぼすその横顔は、父であるエルヴィン団長にとてもよく似ていた。
特に弟と言葉を交わす事はなかった。
訓練兵団を卒業したばかりの新兵と上官。
私達の関係は、それ以上でもなければ、それ以下でもない…。
この頃には、私の心の中にエリクの存在はもうなかった。
こうして、時間とともに少しずつ忘れていくものなのだろう。
父が…母を忘れてしまったように。
ただ、時々思い出す事があった。
“2人でどこか遠くへ行かないか?”
温かい腕の中、微睡む私にエリクはそう言っていた。
もしあの日に戻れるならば、手に手を取り、2人で逃げようか。
この狭い壁の中をどこまでも…。
しかし、そんな非現実的な事など出来るはずもない。
私が選んだのは、この残酷な現実だ。
調査兵団入団から3年。
18歳になった私は、愛する恋人との別れと引き換えに、第2分隊長を任されるまでになっていた。