【進撃の巨人】 never ending dream R18
第30章 永久に碧く~想い~
ギィと音を立て、食堂の扉が開いた。
ゆっくりと近付いてくる足音。
消灯時刻はすでに過ぎていた。
こんな時間に誰だろうと、私は涙を拭い、顔を上げる。
そこに立っていたのは、不満げな表情を浮かべながらティーカップを持つミケだった。
「やっと帰って来たと思っていたら…お前はこんな所で何をしているんだ?」
ミケはそう言うと、手に持っていたティーカップをテーブルへと置いた。
ぼんやりと灯るランプに照らされた2つのティーカップ。
そこには芳しい香りを放つ紅茶が注がれていた。
「紅茶が好きなんだろ?」
椅子に腰掛け、ミケは紅茶を一口すする。
“…紅茶の匂いだよ。
紅茶が好きなんだ。”
初めてエリクと関係を持った日の朝、「誰の匂いだ?」と首筋の匂いを嗅ぐミケへと言った言葉。
そんな事をミケは覚えていたのかと、思わず笑いが込み上げるが、私の瞳からこぼれ落ちるのは涙だけだった。
「紅茶は…嫌い。」
上品で芳しい紅茶の香り。
それは、愛しいエリクの香りだった。