【進撃の巨人】 never ending dream R18
第30章 永久に碧く~想い~
調査兵団本部へ戻るのはいつも夜中だった。
消灯時間を過ぎ、しんと静まり返った薄暗い兵舎。
エリクと身体を結んだ後は、誰とも顔を合わせたくなかった。
見張りの兵士は数人いるにせよ、私はあえて皆が寝静まるこの時間を選んで本部へと戻っていたのだ。
私の部屋は女子棟の2階にある2人部屋。
同室であるハンジは、すでに眠りについているはずだ。
エリクに抱かれた感触を思い出しながら、私は兵団本部と兵舎をつなぐ渡り廊下を歩いた。
ふと、兵舎の入り口にたたずむ人柄が見えた。
背の高い男性兵士。
その兵士は、私を見るなり「…サラか?」と声をかけてきた。
その声に、私の心はわずかに動揺した。
そこに立っていたのは、幼い頃に恋心を抱いていたモーゼスだったからだ。
モーゼスは「こんな夜中までどこに行っていたんだ?」と、呆れたように笑っていたが、私は戸惑うばかりで、早くここから立ち去りたいという気持ちでいっぱいだった。
恋とは何て厄介なものなのだろう。
あの頃は“女”として見て欲しかった初恋の相手。
しかし、今は“女”である事を意識されたくはなかったのだ。