【進撃の巨人】 never ending dream R18
第9章 出会い~後悔~
弔いの炎は高く高く空へと昇り、煙は瞬く星にも迫る勢いであった。
調査兵団に所属した以上、必ず経験しなければならない仲間の死。
皆、それ相応の覚悟があったのだろう。
声を上げ、大きく泣き崩れる者は1人もいなかった。
至る所から兵士達のすすり泣く声が聞こえる。
その声に、リヴァイもそっと瞳を閉じた。
そんな中、一瞬、兵士達の悲鳴にも似た泣き声が上がった。
それは…サラが筵に包まれた遺体をきつく抱きしめ、炎の中へと放り投げた瞬間だった。
大きさのわりには、サラの腕によって軽々と持ち上げられたその遺体…。
わずかに見えたその腕は、変色し、細く乾燥していた。
どうすれば人間の身体がそのようになるのかを、リヴァイは知っていた。
地下街ではよく見かけた光景だった。
あれは間違いなく…8ヶ月前、壁外で命を落としたサラの弟の遺体だろう。
リヴァイは燃え盛る炎を見つめるサラの横顔を見て、そう確信した。
「やっと…連れて帰って来れたんだな…。」
誰かが呟く。
表情を変える事も、声を上げる事もなく、ただ真っ直ぐと炎を見つめるサラの瞳は、一点の曇りもなかった。
リヴァイは高く昇る炎へと視線を移す。
空には幾千もの星が瞬いている。
あいつらも、星の近くまで昇っていけただろうか…。
そんな事を考えていた。
弔いの儀式が終わり、兵士達は兵団宿舎へと戻っていく。
リヴァイは消えかけていく炎をいつまでも見つめていた。
部屋へ戻る気にはなれなかった。
部屋にはファーランの荷物がそのままになっているはずだ。
ベッドの枕元には、読みかけの本が置かれているだろう。
リヴァイの足は、自然と兵舎の屋上へと向かっていた。
やり場のない後悔が波状のように押し寄せていた。