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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第29章 永久に碧く~運命の人~●


850年



病室の窓から見える空は驚くほど青空で、まるで春を思わせる暖かな日差しに、サラは思わず目を細めた。

壁外調査から帰還してから1週間、こうしてベッドから窓の外を眺めるだけの日々。

ただ空を見つめていると、このおぞましい世界ですら美しいと思えるのだから不思議だ。



面会の許可が下り、つい先ほどまで、南側領土を束ねる最高責任者であるピクシス司令がサラのもとを訪れていた。

ピクシスから聞かされたのは、思わず耳を塞ぎたくなるような現実。

サラが右腕を失い、昏睡状態で病院に運ばれてから1週間の間に起こった出来事だった。



1週間前、超大型巨人である“ベルトルト・フーバー”と鎧の巨人である“ライナー・ブラウン”は、調査兵団との激しい交戦の末、巨人化の力を持つ少年、エレン・イェーガーを連れ去り、壁外へと逃亡した。



何とかエレンを奪い返す事に成功した調査兵団であったが、帰還する事の出来た兵士は約4割。

そのうち、自力で歩ける者はその半数ほど。

この戦いで、調査兵団は熟練兵士の大半を失った。



ことの発端となったウォール・ローゼの壁の穴は、やはりどこにも見付からなかった。

…巨人は一体どこから現れたのだろう。

そんな謎が深まる中、ある“仮説”が浮かび上がった。



“今回出現した巨人の正体は、“ラガコ村”の住民である可能性がある”と。



巨人発生地点からほど近い村であるラガコ村の家屋は、全て内側から何かが爆発したように破壊されていた。

また、あれだけの破壊跡がありながらも、遺体どころか血痕一つ見つからない。

そして、未だ行方不明であるラガコ村の住民の数と、壁内に出現し、討伐された巨人の総数が一致した。





「つまり…巨人の正体は“人間”…。」



サラは窓の外を眺めながら、そうポツリとつぶやく。

もし、父さんが生きていたら、何を思っただろうか…ぼんやりとそんな事を考えていた。





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