【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
「…すごく美味しい。」
紅茶を一口飲み、その美味しさに思わず本音がこぼれる。
男は笑いながら、私の隣にゆっくりと腰を下ろした。
「紅茶を飲んだのは初めてです。」
「兵士は紅茶を飲まないのか?」
「そうですね…ゆっくりお茶を飲む時間などありませんから。」
「それは残念だな。」
温かい紅茶に心を解されたのか、私達は先ほどよりも自然な会話が出来た。
時おり見せる男の笑顔がなぜか心地良く思え、私も自然と表情が緩む。
「ごめんなさい…あなたの名前をどうしても思い出せないんです。
もう一度、聞いてもいいですか?」
「あぁ。エリクだ。
エリク・ドーク。」
“エリク・ドーク”
もう忘れまいと、私は心の中で何度もその名前を呼ぶ。
「名前くらいは覚えてほしい。」と笑う彼の表情はとても優しく、全てを包み込んでくれるような…そんな気さえした。
「ありがとう…エリク。」
その日私達は、紅茶の香りに包まれながら、お互いの話を夢中でした。