【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
「片付けくらいはさせてください。」
食事を終え、男は台所へと食器を下げ始めた。
私は慌ててソファーから立ち上がったが、熱のせいか再び目眩に襲われ、そのままソファーへと座り込んでしまう。
そんな私を見て、男は「いいから、休んでくれ。」と言った。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、立ち上がる事すらままならない。
台所で洗い物を済ませる男の後ろ姿を見つめながら、私は再び温かい毛布へとくるまった。
ウトウトと心地良い眠りがやってきた頃、部屋中に漂う香りに気が付いた。
今まで感じた事のない、芳しく上品な香り。
それは、先ほど倒れた私を抱きかかえてくれた男の服から漂ってきた香りと同じだった。
「サラ、紅茶は飲めるか?」
「…こっ…紅茶ですか?」
ふいに名前を呼ばれ、私は慌てて返事をする。
「身体が温まる。」と、男は笑いながらティーカップを手渡してくれた。
カップの中には名前の通り、美しく紅い飲み物が注がれていた。
そこからは、美しい見た目に相応しい、芳しく上品な香りが漂っている。
“紅茶”という飲み物は知ってはいたが、私はそれを一度も飲んだ事がなかったのだ。