【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
食器のぶつかり合う音。
温かいスープの香り。
目を覚ましたのは男の部屋だった。
身体には毛布がかけられ、薪ストーブの前に置かれた古いソファーに寝かされていた。
倒れた私を、男はここまで運んでくれたのだろう。
男は台所でパンを切っているようだった。
「あの…。」
そう声をかけると、男は振り向き、何も言わずにフフッと柔らかな表情で微笑んだ。
その表情は、まるで父親が我が子を優しく包み込むような…そんな穏やかな表情だった。
「あの…助けて下さってありがとうございました。」
面識があるとはいえ、見ず知らずの男に寝顔を見られてしまった。
私にとってはそれがとても恥ずかしく、早くこの場から逃げ出したいという気持ちでいっぱいだった。
男は切ったパンを食器にのせ、ソファーの前のテーブルへと運ぶ。
テーブルに置かれたパンはなぜか2人分。
私は目の前に置かれたパンを不思議に思い、男の顔を見つめた。