【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
数時間かけ、私はウォール・シーナにたどり着いた。
既に辺りは薄暗く、昼間とは比べものにならないほど気温が下がっている。
早く手紙を渡して帰らなけば。
私は鍛冶職人がいるであろう、工房へと向かった。
ぼんやりと明かりの灯る工房の中。
そこに男の姿はなかった。
相変わらず雑然とした工房には、人の気配すらない。
誰もいないのだろうか。
そう思い、工房の中へ入ろうとした、その時だった。
「…何か?」
後ろから突然声を掛けられ、私は振り返る。
そこにはパンの入った袋を抱えた鍛冶職人の男が立っていた。
「先日こちらに伺った調査兵団のサラ・スミスです。
エルヴィン団長から手紙を預かってきました。」
そう言いながら、私はジャケットの内側から手紙を取り出し、男へと手渡した。
「ありがとう。」と、微笑む男の顔を見ずに、私はすぐさま「失礼いたします。」と会釈をする。
身体を襲う倦怠感は激しさを増し、この時は立っている事がやっとだった。