【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
「ナイフ…ですか?」
「あぁ。」
「兵士に…ナイフですか?
ナイフじゃ巨人のうなじは削げませんよ。」
「そうだな。」
「…それは、“最期”のためですか?」
「“最期”とは?」
「巨人に食われるくらいなら、自ら命を絶てと…。」
数少ない私達の会話は、とても父親と娘がするような会話ではない。
調査兵団団長とただの下等兵士。
私の“最期”と言う言葉に、父は少し考えた様子を見せ、こう言った。
「“最期”の瞬間、自ら命を絶とうとするのは東洋人独特の死生観に基づくものだ。
我々にそれは当てはまらないだろう。」
“東洋人独特の死生観”
確かにそうなのかもしれない。
私の死生観は、幼い頃に母から教えられた詩の影響を大きく受けている。
それはすなわち、東洋人独特のものとなるのだろう。
ただ…どうしてだろうか。
父の“我々には当てはまらない。”という言葉。
そして、先ほどの男が言った“兵士には見えない。”という言葉…。
自分の中の何かを否定された。
そんな気がした。