【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
ナイルに導かれるまま、私達は建物の中へと入る。
雑然とした工房の中、真っ赤に焼けた鉄をハンマーで打ち付ける男の後ろ姿が見えた。
「エリク、お客様だ。」
ナイルの呼び掛けにその男はこちらへと視線を向けたが、手が放せないという様子を見せ、私達に軽く会釈をした。
柔らかそうな黒髪を無造作に束ねた男。
年は25、6といったところだろう。
しばらくすると男はこちらへとやってきた。
「甥のエリクだ。」
ナイルがそう言うと、男は「はじめまして。」と微笑みながら父と握手を交わした。
この男が、父の言っていた鍛冶職人なのだろうかと私は思う。
どう見てもまだ修行中の若者だ。
「娘のサラだ。」と父の紹介もあり、私達は握手を交わしたが、特に秀でた才能を持ち合わせているようには思えない。
「まだ若いが、腕は確かだ。」と、私の心を読んでいたかのようにナイルは言う。
そんなナイルに、「いえ、まだ修行中の身ですから。」と男は笑いながら答えた。