【進撃の巨人】 never ending dream R18
第29章 永久に碧く~運命の人~●
ウォール・シーナ南西部の田舎町に、その鍛冶屋はあった。
古びた石造りの建物。
大きな煙突からは煙が昇り、金属を熱した独特の臭いが辺りに立ち込めていた。
建物の前には兵服をまとった1人の男の姿があった。
背中の紋章からするに憲兵団だろうか。
父は馬車から降りると、すぐさま男のもとへと向かった。
「ナイル。」
「あぁ、エルヴィン。
しばらくだったな。」
2人は握手を交わし、親しげな様子を見せた。
彼の名はナイル・ドーク。
憲兵団の主要幹部の1人だ。
私も馬車から降りると、すぐさま男へ敬礼をする。
そんな私を見るなり、男は「ずいぶん大きくなったな。」と、握手を求めてきた。
「あぁ。最後に会ったのは赤ん坊の時だっただろう。」と父は言う。
そんな2人のやり取りを聞いていると、今回のこの訪問がとても私的なものに感じた。
「ナイル、君のところも2人目が産まれるそうじゃないか。」
「あぁ、マリーがどうしても次は“女”が欲しいと言ってな。」
ただの職務上の訪問であるならば、そんな会話などするはずがないのだ。