【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
鎧の巨人は首元を自身の手で覆いながら荒野を駆けていく。
あの手の中にはきっとエレンがいるに違いないと、サラは鋭い眼光を向けた。
沈みかける夕日は血のように赤く、西の空を染めていく。
サラは剣を握り締めた右手を大きく挙げ、「進め!!」と強く叫んだ。
その瞬間、サラの身体を激しい衝撃が襲った。
馬に跨がっていたはずの身体がフワリと宙に浮く。
パキパキと硬い物が砕けていく音。
その音とともに、サラの身体には気絶しそうなほどの激しい痛みが走った。
「うあああ!!サラ団長!!」
後ろを走っていた兵士が悲鳴をあげる。
右側の林から突如現れた巨人により、サラの腕は無惨にも噛み砕かれた。
「…っう!!」
ドクドク流れる血液が、醜い巨人の唇を赤く染めていく。
その瞬間、なぜかミケの顔がサラの脳裏をよぎった。
ランプの明かりに照らされたミケの顔。
あれはいつだっただろう…。
テーブルの上に広げた教本を眺めながら、“酒場に行ってみたい。”と駄々をこねたあの日。
あぁ、あれは訓練兵の時だとサラは思う。
夜の食堂で座学の勉強をしていると、決まってミケがやってきた。
薄暗いランプが灯る食堂にふたり。
他愛もない話はいくらでもしたが、いつもミケは肝心な事には答えようとしなかった。
“私の右目が見えないから…ミケは私の側にいてくれるの?”
飛びかける意識の中、あの日ミケへと投げかけた言葉を、サラは思い出した。